豊胸材訴訟の次に起こされた大量訴訟で同規模のものとしては、鉛含有塗料によるとされる損害に関するものかもしれない。1995年4月14日付「ニューヨークタイムズ」紙は、ニューヨーク市が直面している製造物責任訴訟の爆発的増加について報じた。それは、ニューヨーク市所有の建物の鉛含有塗料にさらされた子供のために起こされたほぼ1000件の訴訟で、すでに提訴されたものだけでも決着をつけるのに必要な市側の費用は、5億$にも達し得る、という予測も報じられた。こういう訴訟は将来もあとを絶たないだろう。しかし、重要なのは、大量不法行為訴訟の規模と結果は製品の実際の危険とはほとんど関係がないと認識することだ。これまで述べた大量訴訟の例は、製品の危険度はピンからキリまであることを示している。例えば、DESのように明らかに危険なものもあり、アスベストのように、ある状況下においてのみ危険なものもある。反対に、ベンデクチンのようによく研究され安全だと証明されているものもある。アスベスト訴訟で見られたように個人でする不法行為訴訟は非効率的で不公平だった。多数の人がある製品で権利侵害を受けたと請求する場合、個人訴訟は非常に非効率的で、裁定にむらの出る方法だ。原告達は損害賠償金を得ようと競って裁判所に出向き、被告が破産する前に目的を果たさなければならない。陪審の評決は、恣意的に見える程ばらつきがある。例えば、アスベスト大量訴訟は目も当てられないひどさだったというのが一般に認められている見解だ。法廷は混沌とした不平等な結果であふれていたし、多くの訴訟は、今も和解していない。1982年にアスベストの大手メーカーのジョンズマンビル社(JohnsーManville)は、第11条(訳者注、日本で言う会社更生法)による破産保全の手続きをとった。連邦と州に提出された訴訟を同時に処理するのに、これがこの会社に残された唯一の選択だった。
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